「資本性借入金に係る経営事項審査の事務取扱い」について

 令和7年6月25日に国土交通省より「資本性借入金に係る経営事項審査の事務取扱いについて」の通知がありました。令和7年1日以降から経営事項審査における資本性借入金の取扱いが、改正前は「負債」とみなされていたものを改正後は一定の要件を満たした資本性借入金を自己資本とみなすことができるように変更がありました。

■資本性借入金として認められる要件

①貸出主が金融機関(政府系を含む)又は『産業復興機構による既往債権の買取制度』等の制度からの借入れであること。

②償還期限が5年を超えるもの。

残存期間が5年未満となった資本性借入金は、1年ごとに20%ずつ自己資本とみなす部分を逓減させる取扱いになります。

③金利設定が配当可能利益に応じている。

業績連動型が原則で、債務者が厳しい状況にある期間は、これに応じて金利負担が抑えられるような仕組みが講じられている。

④法的破綻事の劣後性が確保されていること。

少なくとも法的破綻に至るまでの間において、他の債権に先んじて回収されない仕組みが講じられている。

⑤期限一括償還になっていること。

■「資本性借入金」とみなして取り扱うことが可能なものと考えられる関係省庁等の制度

①日本政策金融公庫

・挑戦支援資本強化特例制度

・新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付制度

・災害対応型劣後ローン

②日本政策投資銀行・商工中金

・危機対応業務による中小・中堅・大企業向け劣後ローン

③その他

・中小企業活性化協議会版「資本性借入金」

・中小企業活性化協議会版「資本性借入金」(新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付制度協調型)

・産業復興機構による既往債権の買取制度

・株式会社東日本大震災事業者再生支援機構による既往債権の買取制度

・農林漁業経営資本強化資金

■申請方法と必要書類

①申請前の事前準備

・公認会計士等から指定様式において資本性借入金に該当する借入金であること等の証明をうける。

・証明者は公認会計士・税理士・建設業経理士1級のみに限定。在籍先(社内・社外)は不問、建設業経理士1級の場合、登録経理試験の合格年月日又は登録経理講習の修了年月日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して5年を経過しない方に限定されます。

②登録経営状況分析機関への提出

・経営状況分析申請において、余白に資本性借入金のうち自己資本と認められる金額を記載した経営状況分析申請書等を提出する。

・添付資料:「資本性借入金」該当証明書、当該借入金にかかる契約書(契約書がない場合は該当証明書の記載事項の内容が確認できる資料)

③審査行政庁(経営事項審査)への提出

・経営規模等評価申請書の自己資本額において、資本性借入金のうち自己資本と認められる金額を加算した自己資本額を記載し、証明書の写しを添付して審査行政庁に申請する。

 これまで負債としてみなされた資本性借入金が自己資本とみなされることで経営事項審査における評点の改善に繋がります。該当する可能性のある関係省庁の制度を利用されている事業者様は担当行政書士に一度ご相談されてはいかがでしょうか。

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