建設業許可申請の要件のひとつに適切な営業所を構えることが求められています。この営業所は事務所スペースがあればどのような建物や部屋でも認められるわけではなく、一定の要件を満たすことで営業所として認められます。
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建設業許可における「営業所」とは?
建設業許可における「営業所」とは、本店や支店、または建設工事の請負契約を常時締結する事務所を指します。単なる登記上の本店ではなく、見積もりや入札、契約締結といった実質的な行為が行われている事務所や、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に関する営業に実質的に関与する事務所も含まれます。
「常時請負契約を結ぶ事務所」の判断基準
「常時請負契約を結ぶ事務所」の判断基準は実質的な判断が重要で、事務所の名称が「本店」「支店」などでなくても、建設工事の請負契約の実体的な行為(見積もり、入札、契約締結など)が継続的に行われている場合は、法上の「営業所」となります。
また、その事務所の契約書の名義人も問われません。契約書の名義人がその事務所を代表する者であるか否かは関係なく、実質的に契約締結が行われているかどうかが判断されます。営業所の最低限度の要件としては契約締結に関する権限を委任されており、かつ、事務所など建設業の営業を行うべき場所を有し、電話、机等の設備を備えていることが必要になります。
「営業所」に該当しない例
営業所に該当しない例としては、登記上では本店であっても実質的な営業活動を行っていない事務所、単なる連絡機能のみで、請負契約の締結に一切関与しない事務所や、単に資材置き場は「営業所」とはみなされません。また、会社の経理作業のみを行い、建設工事の請負契約には一切関与しない事務所も「営業所」には該当せず、他の営業所と共用していて区画が不明確な場所も「営業所」と認められません。
「営業所」として認められるための要件とは?
「営業所」として認められるには以下の要件を満たす必要があります。
①実体的な業務の実施
来客を迎え入れ、請負契約の締結や見積り、入札などの業務を行うこと。
②事務室としての機能
電話、机、各種事務台帳などを備え、契約締結ができるスペースがあること。
③独立性
居住部分や他の法人・個人事業主の事務室とは、間仕切りなどで明確に区分され、独立性が保たれていること。
④使用権原
営業所として使用する物件の所有権または賃貸借契約があること。
⑤責任者の常勤性
経営業務の管理責任者や建設業法施行令第3条使用人が常勤していること。
⑥営業所技術者の常勤性
建設業法で定める専任技術者が、その営業所に常勤していること。
⑦外部表示
看板や標識などで、外部から建設業の営業所であることがわかるように表示されていること。
自宅兼事務所が「営業所」として認められるには?
自宅兼事務所を建設業許可の営業所として認めてもらうには、事務所スペースと居住スペースが明確に区分され、独立性が保たれていることが必要になります。具体的には、住居スペースを通らずに事務所へ入れる動線があることや、事務机や電話などの備品が備わっていること、そして玄関や事務所のドアに会社名が掲示されていることなどが求められます。許可申請時には、これらの状況がわかる間取り図や写真の提出が必要となります。
また、賃貸物件の場合は賃貸契約書に「事務所利用可」など営業所として使用が明記されていたり、貸主からの使用承諾書が必要になることがあります。尚、申請する都道府県によって営業所要件の判断基準が異なりますので事前に許可行政庁の担当窓口で確認する必要があります。
マンションや公営住宅、レンタルオフィスは「営業所」として認められるか?
建設業許可における営業所としてマンションを認めるかは、マンション内で営業所と居住スペースが明確に区別されており、かつ独立性が保たれているかどうかで判断されます。具体的には、自宅のワンルームマンションや、玄関からリビングを通らないと事務所に入れないなどの場合は営業所として認められない可能性が高いです。一方、玄関を開けてすぐの部屋や、居住部分と完全に遮断された部屋であれば認められる場合があります。
公営住宅(市営住宅、県営住宅など)については建設業許可における営業所としては原則として認められません。これは、公営住宅の賃貸借契約で事務所としての使用が認められないことが理由であり、許可を得るための事務所要件を満たすことが困難なためです。
建設業許可における営業所としてレンタルオフィスが認められるかは、レンタルオフィスの設備や賃貸契約の内容、そして管轄の行政庁の判断によります。単に住所を借りるバーチャルオフィスでは認められず、独立した個室や固定電話、長期(年単位)の賃貸契約など、事務所としての実体と独立性が満たされている必要があります。レンタルオフィスで申請する場合はその他手続きが煩雑になるため許可行政庁の担当窓口への確認が必須といえます。
まとめ
以上になります。建設業許可申請では経営業務管理責任者や営業所技術者の要件を満たしていても、賃貸物件で貸主の使用承諾書が得られなかった、集合オフィスで独立性が認められなかったといった理由で営業所要件を満たせず許可が下りない場合もあります。事務所として使用していれば必ず営業所として認められわけではありませんので、申請時には注意深く確認する必要のある要件といえるのではないでしょうか? 営業所要件についてご不明点があれば行政書士小川真裕事務所までお気軽にお問合せください。

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