労働者派遣法により、建設業務への労働者派遣は禁止されています。建設業務とは建設工事現場における、土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの準備の作業に係る業務です。労働者派遣業の許可を受けている、又は届出をしている場合であっても、建設業務への労働者派遣を行うことはできません。
請負事業と称しながらも、実態として「注文主」と「労働者」の間に指揮命令関係や雇用関係がある場合には、いわゆる「偽装請負」とみなされ、労働者派遣法や、職業安定法違反となります。
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労働者派遣とは
労働者派遣とは派遣会社(派遣元)が自社の従業員(派遣労働者)を、派遣先の会社(派遣先)の指揮命令のもと、派遣先の業務に従事させる働き方です。派遣労働者は派遣元との間で雇用契約を結んでいますが、実際の仕事の指示は派遣先から受けます。
請負とは
請負とは、一方の当事者(請負人)が特定の仕事の完成を約束し、相手方(注文者)がその仕事の成果物に対して報酬を支払うことを約束する契約です(民法第632条)。重要なのは「仕事の完成」が契約の目的となる点で、成果物が納品された後に、注文者がその成果物を確認し、問題がなければ報酬を支払うことになります。
派遣が禁止されている主な建設業務とは
具体的には、以下のような建設工事に直接関わる業務は派遣が禁止されています。
- ビル・家屋等の建築現場にて、資材の運搬・組み立て等を行う。
- 道路・河川・橋・鉄道・港湾・空港等の開設・修築などの工事現場で掘削・埋め立て・資材の運搬・組み立て等を行う(事例1・2共に施行計画の作成や、工程管理・品質管理などは含まない)。
- 建築・土木工事において、コンクリートを合成したり、建材を加工したりする。建築・土木工事現場での準備作業全般を含む。
- 建築・土木工事現場内で資材・機材を配送する(現場外からの資材の搬入は含まない)。
- 壁や天井・床の塗装や補修をする。
- 建具類等を壁や天井・床に固定する、あるいは撤去する。
- 外壁に電飾版や看板などを設置する、あるいは撤去する。
- 建築・土木工事現場内において、配電・配管工事をしたり機器の設置をしたりする。
- 建築・土木工事現場の入口の開閉や車両の出入りの管理・誘導をする。
- 建築・土木工事後の現場の整理・清掃(内装仕上げ)をする。
- イベントなどを行う大型仮設テントや大型仮設舞台の設置をする(簡易テントの設営、パーティションの設置などは含まない。また、椅子の搬入や舞台装置・大道具・小道具の設置等も含まない)。
- 仮設住宅(プレハブ住宅等)の組み立てを行う。
- 建造物や家屋を解体する。
建設業界で人材派遣が禁止されている理由とは
労働者の派遣が禁止されている主な理由は、元請から下請まで多層構造の建設業界で派遣社員を活用すると現場の指揮系統が複雑化し責任の所在が曖昧になり、また建設現場での労働者の安全性を守り建設業界の不安定な需要による「派遣切り」から派遣社員の雇用を守るためです。
尚、労働者派遣事業とは別に、建設労働者の雇用の改善等に関する法律において、建設労働者の実情を踏まえた特別な労働力需給調整制度として建設業務労働者就業機会確保事業制度が設けられています。
建設現場で労働者派遣が出来る事、出来ない事
建設現場の現場事務所での事務員、CADオペレーター、施工管理の業務などは、「建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業」に直接従事しないので労働者派遣は可能です。
ただし、施工管理業務などで派遣されてきた労働者が、空き時間等に資材置き場の整理や残材片付けなどをさせることは「建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業の準備の作業」に直接従事したものとして、労働者派遣法違反となります。
労働者の貸し借りはできません
契約上は請負となっていても、自己の労働者を、他人の指揮命令の下で建設の業務で働かせることは、労働者派遣に該当するため、労働者派遣法違反となります。他人の労働者を受け入れて、自己の指揮命令の下で建設の業務で働かせることも労働者派遣法違反となります。

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