設備の撤去工事をするときに、「解体工事」の許可をあらかじめ取得しておく必要はあるか?

設備の撤去工事とは

 設備の撤去工事とは、建物の一部に残る不要な設備や構造物を取り除き、新しい工事や土地に備えるための作業をいいます。建物全体の解体工事とは異なり、内装材や配管、照明、キッチン設備、庭のフェンスなど、一部の特定された対象物を対象とします。撤去工事には専門的な知識と技術が必要になります。撤去工事の例としては、

  • 足場の撤去工事
  • 床材、壁材、天井材などの撤去工事
  • エアコン、照明器具、キッチン、給排水設備、ガス管などの撤去工事
  • 間仕切りの撤去工事
  • フェンス、庭石、街灯などの撤去工事

 などが挙げられます。一方、解体工事とは、既存の建物や構造物を取り壊し、廃棄物を適切に処理して土地を整地する作業を指します。工事目的からして撤去工事とは異なります。

解体工事とは

 解体工事は平成28年6月1日に施工された建設業法等の一部を改正する法律により、元々、とび・土工・コンクリート工事に該当していたものが、分離独立した新しい業種として創設されました。改正法施行前まではとび・土工・コンクリート工事に分類されていた解体工事は、解体工事業許可を取得していなければ500万円以上の解体工事を請け負うことができなくなりました。

 解体工事は工作物の解体を行う工事であり、工作物とは土地に定着する人工物全般を指し、建築基準法では「建築物」と「工作物」を区別していますが、解体工事では広く建物も含まれます。解体工事の例としては、

  • 建物解体工事
  • 外構解体工事
  • 土木構造物解体工事
  • 内装解体工

 が挙げられます。ただし、総合的な企画、指導、調整が必要になるような高層ビルや、橋やダム等の解体工事などは解体工事ではなく、建築一式工事や土木一式工事が該当します。

 撤去工事と解体工事の業種判断に関しては、解体工事は「工作物の解体を行う工事」ですので、工作物以外の解体撤去工事については解体工事に該当しないことになります。具体的には、

  • 足場の撤去工事・・・とび・土工・コンクリート工事
  • マンションの一室のみの内装の撤去工事・・・内装仕上工事
  • 信号機のみの撤去工事・・・電気工事

 などがあります。

まとめ

 各専門工事が設置した設備についての解体・撤去については、それのみを解体・撤去する工事に関しては各専門工事と同じ業種の建設業許可を取得していれば行うことができ、事前に「解体工事」の許可を取得しておく必要はないことになります。広島県が作成した建設業許可申請の手引きにも同様の記載がありますが、具体例が書かれておらずわかりにくいと思いましたので、参考までにコラムで書かせていただきました。

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