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「誠実性」とは?
建設業許可申請には「誠実性」が要件とされています。「誠実性」とは建設工事の請負契約において、不正や不誠実な行為をする恐れがないこととされています。
建設業許可で誠実性が求められるのは、建設業が社会の公共性と公益性が高く、不正行為や不誠実な行為を防ぎ、発注者を保護するためです。社会的な信頼の基盤を築く建設業界において、許可を受けた事業者が不正な契約や工事を行うことを未然に防ぎ、建設工事全体の適正な施工と建設業の健全な発展を促進することが目的です。
「誠実性」の対象者
建設業許可における誠実性の対象者は以下になります。
法人申請の場合
- 法人自体:申請する法人そのもの。
- 役員等:取締役、執行役、相談役、顧問など、建設業の営業取引において重要な地位にある者。
- 令第3条使用人:法人の支店または営業所の代表者(支店長や営業所長など)。
個人申請の場合
- 個人事業主本人:申請を行う個人事業主。
- 支配人(令第3条使用人):個人事業主の支配人。
誠実性の判断基準
誠実性の判断基準は、請負契約の締結や履行にあたり、詐欺、脅迫、横領、文書偽造、請負契約違反などの不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことを指します。過去に建設業法や関連法令(建築士法、宅建業法など)で免許取消処分や営業停止処分を受け、その最終処分から5年を経過していない者も、誠実性の要件を満たさないものとされます。
「不正行為」「不誠実な行為」とは?
では、不正行為や不誠実な行為とは具体的にどういった行為を指すのでしょうか。「不正行為」とは建設業法に違反する行為全般を指し、主に許可申請の際に虚偽の記載をすること、工事請負契約における詐欺・脅迫・横領などの法律違反、また工事内容の不良や契約不履行、虚偽の施工体制台帳の作成などが該当します。一方、「不誠実な行為」とは、工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担など、請負契約の内容に違反する行為全般を指します。
不正行為に該当する具体的な行為
許可申請等に関する虚偽行為
- 建設業許可申請書、変更届、経営状況分析申請書などに虚偽の記載をして提出すること。
- 許可基準を満たさなくなったにも関わらず、その事実を届け出なかったり、虚偽の届出をすること。
無許可営業
- 建設業許可を取得せずに、500万円以上の規模の工事を請け負うこと。
- 建設業許可を受けた業者と誤認されるような表示をして、無許可で営業すること。
建設工事の請負に関する不正行為
- 工事の手抜きなど安全基準を満たさない施工を行うこと。
- 架空請求や過大請求といった不適正な工事代金の請求を行うこと。
- 下請けへの一方的な費用負担の強制や、極端に安い請負報酬での発注。
名義貸し
- 他人の建設業許可を借りて工事を請け負うこと。
発注者やその他の関係者に対する不正行為
- 発注者への不当な要求や、工事代金の支払いを正当な理由なく遅延させること。
- 談合や贈収賄を伴う入札行為、不正入札をすること。
その他
- 営業停止処分を無視して営業を継続すること。
- 必要な標識(建設業の許可票)を掲示しないこと。
不誠実行為に該当する具体的な行為
工事内容の違反
- 契約通りの品質や仕様で工事が行われないこと。
工期に関する違反
- 契約で定められた工期に遅延が生じ、その責任が明確にされないこと。
天災などによる損害負担の違反
- 契約に反して、天災等不可抗力による損害を一方的に負担させるなどの行為。
その他契約違反
- 請負契約に明記されている事項に違反するすべての行為。
「誠実性」の確認書類は?
建設業許可における「誠実性」を確認する書類は特にありません。特定の「確認書類」を提出するわけではなく、申請者や役員等が「不正または不誠実な行為」をしていないことが許可行政庁により審査され、その判断は過去の行政処分歴や不祥事の有無などで判断されます。また、確認書類として身分証明書や登記されていないことの証明書などがありますが、これらは「欠格要件」に該当しないことを示すものであり、誠実性そのものを直接証明する書類ではありません。
「誠実性」に違反した場合のペナルティー
建設業許可における「誠実性」に違反していることが発覚した場合、許可の取り消しや更新申請の拒否、新規申請の却下といった処分を受けます。違反の程度によっては営業停止処分もあり、許可を取り消された後は5年間は新規申請をすることができません。また、建設業法等の違反により罰金刑に処されたり、虚偽申請が発覚した場合も同様に不利益な処分を受けることがあります。
おわりに
建設業許可における「誠実性」についてまとめてみました。建設工事は、完成までに長期間を要し、代金の支払いや取引の進め方で発注者と受注者の信頼関係が前提となる特殊な性質を持っています。そのため、不正や不誠実な行為をする者には許可を与えず、建設業全体を健全に保つために申請者には誠実性が求められています。

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