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建設業における500万円ルールとは
建設業許可における「500万円ルール」とは、請負金額が消費税込みで500万円以上の建設工事を請け負う場合、建設業許可が必要になるというルールです。
このルールは、建設業法で定められており、許可なしで500万円以上の工事を請け負うと、建設業法違反となり罰則が科せられるため注意が必要です。なお、請負金額には、工事費用、材料費、運送費、消費税など、工事に関連する費用が全て含まれます。
また、注文者が材料を支給する場合、その市場価格や運送費も請負代金に加算されます。
請負代金に含まれるもの
工事費用
「工事費用」とは、請負契約における工事代金全体を指し、材料費や施工費、人件費、機械経費など、工事に関連する費用全てを含みます。
材料費
「材料費」とは、工事を完成させるために使用する物品の購入費用を指します。
具体的には、木材、鉄筋、セメントなどの主材料費だけでなく、釘、ネジ、接着剤などの副材料費、さらにはこれらの材料を現場に運搬する費用も含まれます。注文者が支給する場合も、その市場価格が加算されます。
運送費
「運送費」とは、建設工事に関連して発生する資材や機材の運搬費用を指します。
具体的には、建設資材を現場に運ぶための運送費や、現場から発生した残土などを処分場に運ぶための運送費などが含まれます。注文者が材料を提供する場合は、材料の市場価格に運送費を加えた金額が請負金額に含まれます。
消費税
請負代金に含めて計算します。
例えば、工事の請負金額が490万円(税抜)の場合、消費税10%を加えると539万円となり、建設業許可が必要になります。
法定福利費
「法定福利費」とは、労働者を雇用する際に、法律に基づいて会社が負担する社会保険料などの費用のことです。
具体的には、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料などが含まれます。これらの費用は、労働者の福利厚生を保障するために法律で義務付けられているため、「法定」福利費と呼ばれます。
請負代金に含まれないもの
建設業許可における請負代金に含まれないものは、主に以下の2点です。
1. 元請事業者が提供する材料費
元請事業者が材料を支給する場合、その材料費は請負代金に含めません。
2. 機械のレンタル料
施工のために元請事業者から貸与された機械のレンタル料は、材料費ではないため、請負代金に含めません。
建設業許可において軽微工事の基準とは
建設業許可における「軽微な工事」とは、建設業許可がなくても請け負うことができる小規模な工事のことです。
具体的には、建築一式工事以外の場合は請負金額が500万円未満、建築一式工事の場合は請負金額が1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事を指します。
軽微な工事の注意点
請負代金の範囲について
請負代金は消費税込みの金額で判断されます。また、材料費も含まれます。注文者が材料を支給する場合でも、市場価格や運送費を含めた金額で判断されます。
請負代金の総額が上限を超える場合は建設業許可が必要になります。
分割契約について
工事を分割して請け負う場合、それぞれの契約の請負代金の合計額で判断されます。正当な理由による分割でない限り、合算されますので注意が必要です。
- 複数の契約を合算して500万円以上になる場合
- 長期間にわたる工事で、分割しても合計で500万円以上になる場合
- 断続的な小口契約でも、合計で500万円以上になる場合
建設業許可を受けた営業所について
建設業許可を受けた業種については、許可を受けた営業所以外では、軽微な工事であっても営業することができません。
建設業法違反について
軽微な工事しか請け負わない事業者も法令遵守は必要です。
建設業許可が必要な工事を許可なく請け負うと、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、指示処分、営業停止処分などの対象となる可能性があります。
今後の許可取得への影響について
建設業法違反をした事業者は、5年間、建設業許可を取得することができません。
解体工事の場合について
解体工事の場合は、請負代金が500万円未満でも「解体工事業の登録」が必要です。
建設業許可が必要な工事と、建設業許可がなくても合法的に行える工事(例:自社で使用する建物を自ら建築する工事、調査、測量、設計など)を混同しないように注意が必要です。軽微な工事に関わらず、工事を請け負う際には、契約内容を明確にし、トラブルを避けることが重要です。
建設業許可の必要ラインのまとめ
建設業許可が必要となるケースと、不要のケースをまとめると、以下になります。
建設業許可が必要となるケース
- 請負金額が500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上、または木造住宅で延べ面積が150㎡以上)の工事を請け負う場合
- 公共工事の入札に参加したい場合
公共工事の入札に参加するには、建設業許可が必要になります。 - 取引先や元請事業者から建設業許可を求められた場合
取引先や元請事業者との関係で、建設業許可を求められることがあります。
建設業許可が不要なケース
- 軽微な建設工事の場合
請負代金が500万円未満の工事(建築一式工事の場合は1500万円未満、木造住宅工事では延べ面積が150㎡未満) - 建設業に該当しない業務の場合
建設工事の完成を請け負わない業務
例:建設現場への労働者派遣、建設資材の販売のみで工事を行わない、機械・器具の保守点検など - 建設業法上の「建設工事」に該当しない業務
例:道路の草刈り、樹木の剪定、水路の清掃、除雪、管理など
例:道路や河川の清掃、建設残土の運搬など
例:建設現場の警備、清掃、測量、地盤調査、建設機械の搬入出など - 付帯工事の場合
許可を受けた建設業に係る建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事
例:左官工事の許可を持つ事業者が、附帯工事として軽微な大工工事を請け負う場合など